みちくさのできるまで

プロローグ

私たち夫婦は新宿区で子育てを始めてからというものの、パパママが気兼ねなく子どもを遊ばせられる場所が少ない、安全安心のごはんが食べられ、ゆっくりくつろげる飲食店が少ない…など子どもの居場所の少なさに驚き、不便を感じていました。

また、3歳の娘が数年後に小学生になります。共働きで祖父母の協力が簡単には得られない我が家は、放課後という小学生にとって一日の大部分を占める時間に娘がどこでどのように過ごすのかを不安に感じていました。

遊び中心で学びの機会が少なく児童数が多い公立学童でもなく、高額で敷居の高い塾や民間学童でもない。もっと気軽に立ち寄れて、学びの機会があり、我が家のように過ごせる場所があったらいいのに…

このような自分たちの問題意識から、子どもやパパママ、さらには地域の人々が気軽に集まることができ、放課後、子どもが有意義に過ごせる場所をつくりたい!と強く感じるようになりました。

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みちくさくらすのあらまし
2017.冬頃 ぼんやり妄想を

夫義和がゆくゆく独立をして拠点を持ちたい、妻優は子どもが集まる居場所を作りたい、とお互いの「こんな場所あったらいいな」をぼんやりと妄想し始める。

 

2018.02 参考事例を探し、とにかく足を運ぶ

リノベーション、建築界隈で有名な事例、気になるカフェやコミュニティスペースにとにかく家族で足を運ぶ。既に場づくりに取り組まれている方にお話を聞きに行ったり、イベントに参加したり、積極的に動き回る。

 

2018.04 物件探し

子どもが出入りでき、可能なら1階で、自分たちで大掛かりなリノベーションしてもOKで…条件が多いため、なかなかいい物件が見つからない。自宅近くから少し範囲を広げて探してみると、古いけど丁度いいサイズの元クリーニング店の一軒家(現みちくさくらす)を発見。こ、こ、これは素敵な物件!!とビビッとくる。

 

2018.05 物件契約+設計開始

ビビっときた物件に何度か足を運び、条件や使い方のイメージを確認し、契約。すぐに設計開始。ここから人集めと空間設計に怒涛の日々。

 

2018.08 解体・着工

諸事情によりお願いしていた工務店が施工できなくなり、急遽地元工務店に工事を依頼。着工が遅れること2ヶ月でようやく解体開始。古い空き家なので、とにかくほこりまみれ。壁や天井を剥がしてみると予想外の連続。追加で構造補強を行ったり、施工方法を見直したり。猛暑の中職人さんに毎日汗水垂らして頑張っていただき、ようやく10月に下地の目処がつく。

 

2018.10-12 怒濤のDIY

10月末より週末は全てDIYに力をつぎ込む。最初は壁・天井塗装の下地づくりとパテ、ヤスリ、塗装。そして小上がり、本棚、テーブル、床張り…週末だけでは全然終わらず、地域の方や友人の助っ人を巻き込んで夜な夜な作業をして何とかお見せできるような状態に。

 

2018.12 お披露目会

直前までDIYを行っていたため、お披露目会の準備もバタバタ…イベント慣れしているカフェスタッフたちに助けられ、なんとか当日を迎える。当日は100人を超える人が駆けつけてくださったり、通りすがりに立ち寄ってくださったり。子どもが楽しく遊び、大人もゆったりと過ごし、素敵なシーンがたくさん見られた。
まずはほっとしたが、ここからがみちくさくらすの本当のはじまり。

「みちくさくらす」の名前の由来

新宿区とりわけ牛込柳町界隈は夏目漱石ゆかりの地として知られており、漱石の作品の一つである『道草』と、放課後子どもたちが集まる教室としての「class」、暮らしに密着した場所になるようにとの願いから「暮らす」の2語をかけた「くらす」を組み合わせて名付けました。